今回のフンメルの演奏に当たって、演奏の仕方、道具なども色々検討しました。
マンドリンを演奏する方の参考になればと思い、書かせていただきます。
【楽器と弦とピックの選択】
メイン楽器の石川マンドリン(1984年石川捷二郎作)には全弦アルス弦が張ってありました。低音が良く鳴り、全体に音量も出る割りにオプティマ(青)より柔らかめの音が出るので気に入っていました、もう1つの所有楽器の石川マンドリン(1993年森篤作)には音色で優れているオプティマオリーブが張ってあることもあり、それも試してみました。この石川(森)の方が、楽器自体の音色がまろやかで、またネックが若干太めで和音が出し易いなどのメリットもありました。
しかし弾き比べてやはりいつもの石川(1984)にしました。30年来の付き合いであり、弾き易く、力まずに音量が出せること、そして何より古典作品を弾くにあたって重要な音の伸びが違うからです。これはこの楽器で長いこと古典作品を弾いてきたことに関係していると思います。ただ、ピアノとの音量の差が大きかったので、弦は音量を優先して、GDEをアルス、Aはどうしても譲れずトマスティクにしました。
(最近は、音色を優先して、GDはオプティマオリーブ、Eはハナバッハが定番)
それから、ピックは私は通常川口ピックの茶色のマンドラ用(大)を使っていますが、速いフレーズを弾くのにはイケガク(クボタ)ピックの方がうまく行くと気づき、そちらを採用しました。
【立奏】
それから、演奏は立って行いました。貼付けるタイプの滑り止めを背中側に貼っただけ。ストラップは無しでした。全く問題がないです。立って弾く方がお客様にもインパクトが強いから、いつかは、とずっと以前から思っていたので、今回思い切ってやってみました。でも、それ以外にもメリットがあることが分かりました。
立って弾くと、左手と楽譜が近く目線の移動が少なくてすむこと、体を動かし易いのでピアニストさんの方を見易いこと、何より全身で表現できること、楽器の位置が高くなるのでかえって左手の押さえがし易くなる、などのメリットがありました。今後はソロは基本的に立って演奏する方向で行こうと思いました。